2歳児健診で通い始めた、集団療育。ここで息子の発達の偏りを目の当たりにした私は、

これはやはり、もっとしっかり療育をしなくちゃいけない…。
と思わざるを得ませんでした。
療育園の先生からのすすめもあり、私は息子と一緒にグループ療育に通うことを決めました。
息子は、グループ療育には順調になじんでくれました。そして療育の集団では、とても上手に過ごせるようになりました。その大きな成果に、私はとてもうれしく思いました。

これできっと、今後の保育園入園もスムーズだ!
と、安心感を持ちました。
しかし、むかえた3歳児健診では、グループ療育よりももっとランクアップした療育である、母子通園療育を勧められることになりました。私は正直、それはなにかの間違いだ、と、受け入れられない気持ちでいっぱいでしたが…。
今回は、そんな3歳児健診の前、グループ療育に参加したときの息子の様子を、まとめていきたいと思います。
グループ療育開始
集団療育で、「もっと療育を行う必要がある」と拾い出された息子は、次年度から、1段階上がったグループ療育に通うことになりました。
グループ療育のねらいとは?
グループ療育を始めるとき、担当の先生から、グループ療育の目標について説明がありました。
このグループ療育で目指していることは、
がまず大きな1つ目としてあるのですが、もう1つ大切なことが、
これからのこの子たちの人生で、困ったときに「何とかしたい!頑張りたい!」と思える基礎になるのが、自分のことを大切にできる気持ち=自己肯定感です。
ですが、集団の中でうまく過ごせない子どもは、いろいろな場面で否定されることが多く、自己肯定感が低くなりやすいのです。そうすると、困難な事態に直面したとき、つぶれてしまうのです。
早期から自己肯定感を高めて、これから生きていくための人間性の土台作りを助ける。これがグループ療育を受ける中で大切な要素になる、というお話でした。
娘と同じ、グループ療育へ
息子が受けたグループ療育は、娘と同じ療育でした。
この地域で行われているグループ療育は、10人弱の少人数集団で受けます。集団療育と同じように月2回の頻度で、場所は療育園で行われていました。
グループ療育の内容
グループ療育の内容は、集団療育のものと似ていました。ですが、スクリーニング機能も兼ねていた集団療育にくらべると、より療育的な側面が強化されているようだと感じました。
サーキット
集団療育のときと同じように、サーキット遊び(遊具を並べたコースを、ぐるぐる回って遊ぶ)が毎回用意されていました。
しかし、集団療育のときと比べて、コースに使われる遊具がブランコや小さなジャングルジム、アスレチックだったりして、身体機能の訓練をより強化しているように感じました。
またサーキット遊びは、いつもグループ療育のスケジュールの最初になっていました。参加する子どもが、まずは思いっきり体を動かすことで、そのあとのスケジュールを落ち着いて過ごせるようにという配慮だと思います。
はじまりの会
1列に並べられたイスに座って、お名前呼びをしたり歌を歌ったりします。このとき、「きょうのよてい」パネルに順番に並べられた絵カードを見ながら、その日のスケジュールをみんなで確認します。
発達に偏りがある子どもは、予定の見通しがつかないことで、うまく動けなかったり不安になってしまったりすることが多いからです。
体操
音楽に合わせて、みんなで体操をしたり、親子でふれあい遊びをしたりします。集団療育のときと同じ雰囲気でしたが、曲の数は少し多めで、「右手、右足、左手、左足」など、体のパーツをバラバラに動かして協調運動の練習をするような体操がたくさんありました。
休憩
手を洗ってきて、座って持参したお茶を飲みます。このとき、もうトイレに行ける子は、園のトイレを使う練習もします。
絵本・紙芝居の読み聞かせ
またイスを並べて座り、先生からの絵本の読み聞かせや紙芝居などを見ます。
サーキット遊びや体操でたくさん身体を動かした後などで、比較的子どもが落ち着きやすい状態になるように、スケジュールが工夫されていたと思います。
終わりの会
療育の最後には、必ず終わりの会があり、イスにきちんと座って先生方とご挨拶するスケジュールになっていました。
このような、いつも大まかに決まったスケジュールであることで、子どもが理解しやすく参加しやすい形になるように考えられているのだと思いました。
その他のイベント
絵具やハンコ、シールなどで絵を作るイベントなど、保育園・幼稚園生活を見据えたイベントが用意されていました。我が家は参加できませんでしたが、運動会やクリスマス会もあったようです。
グループ療育の効果
グループ療育に参加した息子は、短期間でできることが増えました。やはり、集団療育に比べて、みっちりみていただけるグループ療育では、成果が大きいように感じました。
また、落ち着きがない子、緘黙(かんもく・お話しせずずっと黙っている)の子、息子のようなマイペースな子、といろいろな子が参加していましたが、少人数なのでそれぞれの特性に合わせてスキルを磨いていけました。これが、短期間での成果につながっていたと思います。
例えば、おそらく視覚優位なのであろう息子は、絵カードからの学びが非常に有効でした。いろいろな場面を音や歌で切り替えている子もいました。それぞれのやり方で、集団で過ごすときに困らないように練習ができる仕組みになっていました。
お茶が一口飲めるようになった!
極度の偏食傾向を持つ息子が、グループ療育の中で、お茶を一口飲めるようになりました。
本当にいやいやながら、泣きべそをかきながらでしたが、お茶休憩の時間には、必ず1口だけは、自分からお茶を口に含むようになったのです。
どうやら、「この時間には、お茶を一口飲まねば」というルールを、息子はなぜだか自分のマイルールの中に組み込んだようでした。何でもスケジュールに沿ってやる、というグループ療育全体の流れがあったので、お茶休憩もスケジュールに沿ってやらねば、と息子は思っていたのかもしれません。
本当につらそうな顔をして飲むので可哀そうにもなりましたが、「飲んでみる」という段階に進めたことを、私はとてもうれしく思っていました。
指示を工夫すると、できる
通常の指示がなかなか入らない息子も、色で指示をすると、それなりに規範に沿って動くことができるようになりました。
例えば、休憩で「マットに座ってね」では走り回ってしまう息子が、「緑のマットに座ってね」と指示すれば座る、といった感じです。
集団療育のときに、「息子には色の情報はインプットしやすい」と気が付くことができたことが、ここで生きてきました。
イスにきちんと座っていられる
絵本や紙芝居の読み聞かせなどでは、息子はイスに座ってきちんと最後まで聞くことができるようになりました。
初めてのときは、大好きな電車の絵などが出てくるとフラっと立ち上がって先生のそばに寄っていってしまったり、だるまやお人形など興味のない題材のときはどこかへ遊びに行ってしまったり、といった風でした。ですが、何度も「座って聞きます」と、先生が絵カードを見せながらルールを説明したことで、「グループ療育の先生の話は、イスに座って聞くらしい」と理解できたようでした。
「呼んでも来ない」は変わらず…
「息子くん、こっちおいで~」と呼ばれても、全然聞こえていない様子で走り回っているのは、まったく改善されませんでした。
呼ばれていることを意識させるためには、笛なり太鼓なりで注目させて、そこですかさず名前を呼ぶ、くらいはしないといけませんでした。
そして、呼ばれている、と意識しても、「来る」ということは、また別でした。息子は自分が「参加しよう」と思っている何かがそこにないと、呼んでもそうやすやすと来てはくれませんでした。
グループ療育を受けた、親の気持ち
娘のグループ療育と、息子のグループ療育との違い
ずっと以前、娘がグループ療育に通っていたとき。
私はなかなか療育の成果が出ないことに焦り、いつもヤキモキしていました。グループ療育なんて、それほど効果はないのかも、と期待を裏切られたような気持ちでした。
今考えてみると、娘は情緒面の発達の問題とともに、協調運動の未発達という身体的な発達の問題も抱えていたので、
「学んだことはちゃんとやりたい、でも身体がついていかない」
という状態になってしまっていたと思います。これが、娘のグループ療育の成果にブレーキをかけてしまっていたのだろうな…と感じます。
娘のグループ療育についてはこちら↓


娘に比べて、息子はずっと短期間で、グループ療育の成果をあげることができました。
息子は今のところ、フィジカルな面で問題を指摘されたこともなく、ジャングルジムや高いすべり台もどんどん登ります。ボールをまっすぐに蹴ることも得意です。
息子は問題が情緒面に特化していたので、グループ療育の成果がきちんと出せたのだと思います。
息子のグループ療育に参加して、初めて私は「グループ療育は、やはりかなり効果がある」と、認識を新たにすることができました。
意外に、「ちゃんとできる」息子
息子は、グループ療育に毎回喜んで参加し、「ちゃんとする」ことを楽しんでいるようにすら見えました。いつも自分のやりたいようにしかやらない息子が、自分から進んで集団行動に参加しようとしている姿に、私はびっくりし、またとてもうれしい気持ちでした。

なあんだ、意外に息子はちゃんとやれるんじゃないの。
と、次年度に控えた園生活に向けて、かなり安堵した気持ちになったことを覚えています。
「ちゃんとできる」のには、理由があった
ここで気をつけておかなくてはいけないのは、息子が「ちゃんとできた」ことには、それなりの理由や背景があった、ということです。
グループ療育で、息子たちが学びやすいように整えられていた、
・いつも決まった流れ
・「イヤなこと」がない(息子にとっては、食事や着替えなど)
という環境があって初めて、息子は「ちゃんとする」ことができ、「ちゃんとする」ことを楽しむことができていたのです。
保育園や学校など、もっと大きな集団で、療育を受けた子どもがスキルを使いこなすには、もう一段階進んだ練習が必要になると思います。また、園や学校の方にも、より子どもたちに理解しやすい環境を整える、などの配慮が求められる場面が出てくると思います。
自己肯定感が得られた、グループ療育
息子が楽しそうに参加し、「ちゃんとする」ことを楽しめていたのは、グループ療育の最初に療育の先生がお話してくださった、「自己肯定感を高める」ことができていたからだろう、と思います。
いわゆる「普通の子」である定型発達のこどもたちは、集団の中に自然な形で参加し、その中で過ごすことで当たり前のように自己肯定感がはぐくまれていきます。
でも、息子のような子は、その一番最初からつまづきやすくて、長い人生の一番最初から、そこにただ居ること自体が苦痛になってしまうことが、きっと多いと思います。娘も、そうでした。
でも息子は、方法や感じ方が違うだけです。
そして、ここではまだ、「人間が嫌い」とか「コミュニケーションが苦痛」という状態ではない「いちばん最初の状態」なのです。
ここで「僕でもできる!」という自己肯定の感覚や、「みんなと一緒にいて、コミュニケーションとることって楽しい」というきもちを体験できることは、今後の息子の人生すべてに影響してくる、大切なことなのです。
この最初の段階が、このグループ療育だったこと。
これで息子は、人とのコミュニケーションのつらさではなく、集団の中にいることの楽しさを学んでくれました。このことが、早期療育の一番の成果だったと私は思っています。

もし、8年前の娘にも、あの頃もっと密度の濃い早期療育をほどこしてやれていたら…。
年少・年中クラスであんなにつらい思いをさせなくてよかったのでは…
と、私は今でも思います。
あっという間に成果が見えた息子のグループ療育を、私はとても喜んでいました。これで来年、息子が年少クラスで入園しても何とかなるだろう、と安心した気持ちでいました。
ところが、グループ療育を始めて3か月ほどたった3歳児健診で、息子はグループ療育のときとは全く違う、荒れた様子を見せることになりました。
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