初めての知能検査WISC-Ⅳと強化OTなど、就学準備に明け暮れた日々~娘の生い立ち⑨

知能検査ウィスクを初めて受けたころの娘 娘の発達
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発達に偏りがある娘の就学先として、特別支援学級を選択した私たち家族。

その決定と前後するかたちで、娘は初めての知能検査を受け、また療育での就学準備をはじめました。

継続したOTやグループ療育のおかげで、娘の日常生活も以前に比べて格段にスムーズになり、娘はお楽しみ会や遠足などの行事も、クラスのみんなと一緒に楽しめるようになってきました。仲のいいお友達もでき、足取りも体つきもしっかりしてきました。

私の方はというと、心の中には、いまだに、

みどり
みどり

本当は、通常学級に行ってほしい…。

というきもちが巣くっていました。それでも、ともに療育で我が子の発達について学ぶことで、少しずつ、娘に寄り添える母になりはじめました。あと1年で、1年生。ランドセルも注文し、期待に胸がふくらむ日々でした。

そんな、保育園最後の1年で、発達障害(ADHD主に不注意型&自閉症スペクトラム)の娘が、就学に向けて準備したことをまとめたいと思います。

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はじめての知能検査(ウィスク)

娘は、年長クラスの夏に、初めての知能検査を受けました。特別支援学級に在籍するにあたって、知的障害クラスと情緒障害・自閉症クラス、どちらに在籍することが適当か、きちんと調べるためです。

特別支援学級に在籍する手続き上は、知能検査は必ずしも必要ではありませんでした。ですが、小学校の特別支援学級主任の先生から、

ここのの特別支援学級は、知的と情緒でクラスが分かれています。

できれば入学前にきちんと検査をして、どちらのクラスが娘さんに合っているのか、数値としても確かめた方がいいと思います。

とすすめられたのです。

知能検査とは

知能検査は、知能(言語や情報処理などの、脳の機能)を数値として測るための検査です。

娘は、3歳の時に新型K式という「発達検査」を受けていますが、これは主に乳幼児向けの検査です。児童・生徒や大人の発達の度合い、偏りなどを調べるときには、「知能検査」を使います。

どんな種類の検査がある?

日本で、児童・生徒を対象によく行われる知能検査は、ウェクスラー式知能検査、田中ビネー知能検査、K-ABCⅡ知能検査などです。

検査を受けると、何がわかる?

発達検査と同じように、知能検査を受けることで、受けた人の脳機能の発達度合いや、発達の特徴、分野別の差などを数値化して、どんなふうに支援していったらいいかのヒントにすることができます。

「知能」とはそもそも何なのか、どこに注目して分析していくか、という概念は明確な定義がありません。それぞれの検査の製作者によって検査する切り口も異なり、分析できることもそれぞれです。

娘は、どの知能検査をうけたか?

娘が受けた知能検査は、ウェクスラー式知能検査「WISC-Ⅳ(ウィスク4)」です。この検査は、

言語性IQ
動作性IQ

という2つの測定概念を用いて、受けた人の得意不得意を測定しようとするものとしてつくられました。WISC-Ⅳが改訂版として出されたときに、この2つの測定概念は、

言語理解
知覚統合
ワーキングメモリー
処理速度

という4つの指標得点(群指数)となりました。WISC-Ⅳでは、この4つの指標得点と全検査IQの計5つの得点から、子どもの知的発達を多面的にとらえることができます。

また、WISCには、発達障害がある場合に結果に一定の傾向がみられる、という特徴があります。そのため、発達障害の確定診断に使われることも多いのです。

【知能検査とは】項目の参考元;
厚生労働省平成24年度障害者総合福祉推進事業 発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン
特定非営利活動法人 アスペ・エルデの会 (参照;2018.11.12)

娘の主治医の方針

セカンドオピニオンでこの病院に来たばかりのとき、私は主治医(発達外来の療育を担当している言語聴覚士のG先生ではなく、もともと一般外来の方でかかりつけ医だったちょっと怖い女性の先生)に、

みどり
みどり

娘は、あらたに知能検査を受けた方がいいんでしょうか?

とお聞きしました。しかし主治医は、

小さいうちに知能検査を受けても、結果はあんまりあてにできない。

療育園での発達検査の結果も、ざっくり見るくらいで、あんまり気にしなくていい。

小さいうちは、本人をよく観察したり成育歴見る方が、支援しやすい

きちんとした発達の傾向を見たいなら、知能検査は、できれば6歳以降がいいね。

と、言っていました。

幼児期の発達検査・知能検査は、検査時のこどもの気分や体調、その日の天気などの検査環境で、結果が大きく変わってしまうからだそうです。実際、発達検査の方の結果は、発達障害の確定診断に使うことはできません。

今回、特別支援学級在籍に合わせて知能検査をお願いしましたが、年長クラスの夏の時点で、娘はまだ6歳になっていませんでした。主治医はうーん、とうなっていましたが、

でも、就学前だからねえ…

手続きの時期的に、夏までに受けないとねえ…

と、しぶしぶという顔で検査の実施を決めてくれました。そして、きちんと傾向を見るために、入学してから、7歳になってしばらくしたときに、もう1度知能検査を受けるように、といわれました。

初めての知能検査と、娘の様子

こうして、娘は初めての知能検査WISC-Ⅳを受けることになりました。

知能検査を受けた時期

受けた時期は、年長クラスの年の8月初旬でした。

なぜかというと、12月に正式に、教育委員会からの特別支援学級在籍のための判断書が出されるので、遅くとも10月までに検査結果を出した方がよかったからです。8月に検査を受け、1か月後の9月に検査結果を受け取って、保育園から就学相談委員会に提出してもらう必要がありました。

知能検査を受けた場所

検査を受けた場所は、かよっていた発達外来の診察室です。

セカンドオピニオンからずっと相談にのってもらっていた、お若くて優しい言語聴覚士のG先生に、検査を担当していただきました。

知能検査の様子

検査全体にかかった時間は、2時間ほどでした。私は、1メートルほど後方に離れた場所から、娘の様子を見ていました。

G先生は、常にメモを取りながら検査をすすめていました。WISC-Ⅳの検査は、解答だけでなく答える態度や子どもの様子などの記録も大事になってくるということで、先生はおそらく娘の様子をメモしていたのだろうと思います。

検査の内容は、言葉の意味を答える検査、絵を見て質問に答える検査、積み木や色板を組み立てる検査、数や文字を復唱する、などといったものでした。

検査中の娘の様子

言葉の意味を聞かれるような質問では、娘はいつも通り、しゃべりすぎなほどにしゃべっていました。しかし、絵を見て行う検査では、公園か何かに子どもが数人書かれている絵で、

この子は今、どんな気持ちかな?

と聞かれ、娘はかなり困った表情で、

娘

うーん、うーん…わかんない…

としょんぼり答えていました。

15分ほどたったところで、娘に早くも疲れが見えてきました。イスに座っているのが難しくなってきたのです。こうなると、もう先生の質問もあまり耳に入らないようでした。

すると先生は、しっかりしたクッションを2つ持ってきてくださって、それをおなかに抱える形で座るように指示されました。これで娘の姿勢が安定し、そこから急に、問題に対する集中力も上がりました。

それでも1時間もすると、かなり集中できなくなってしまいました。そこで15分ほど体操したりおしゃべりをしたりして休憩をはさみました。

数の概念がまだあやふやだった娘は、数字を復唱するような検査では、もうお手上げ、という様子で、検査自体を投げてしまっているような態度でした。

それでも、模様付きの積み木が出てきたり、きれいな絵が出されたりと、おもしろそうなものが次々に検査に使われたこともあり、娘は何とか最後まで検査を受けることができました。

知能検査WISC-Ⅳの結果…ワーキングメモリーと言語理解の大きな差

1か月後に、G先生から知能検査の結果を渡され、詳しい説明を受けました。数値で見ると、検査結果は、

全検査:平均より低い
言語理解:平均よりとても高い
知覚推理:平均より少し低い
作業記憶:平均よりとても低い
処理速度:平均より少し低い

というものでした。

なお、知能指数は、個人情報のため、すべておおよその数値にぼかして書いています。
また、体調やその日の気分、受ける環境などでも、知能指数は変化するものです。
また、知能指数だけでは、本人の特性や傾向を見極めることはできません。
成育歴や困り感の把握のための観察などが、最も重要になります。
あくまでも、このような数値の例もある、という参考としてご覧ください。

ワーキングメモリーが、低かった!

まず指摘されたのは、ワーキングメモリー(作業記憶)の、突出した低さでした。

ワーキングメモリーとは、人間が使っている短期記憶のうちの、作業に使う短期記憶のことです。このワーキングメモリーを使って、人は数分前のようなごく短い過去のことを記憶します。記憶し、相手の言った言葉を頭において、その内容に合う返事を考えます。そうやって、私たちは相手と「会話」ができるのです。

ものごとを考えるときも、作業記憶を使いながら考えるから、私たちは見たものが何なのか、きちんと考え理解することができるのです。

娘はその、ワーキングメモリーの機能が低かったのです。それによって、

  • ひとつのことに集中できずにすぐ気が散る
  • 会話の内容が登場人物も時系列もめちゃくちゃになる

などの状態になっていたようです。集団生活の中においては、

行動しながら理解する
全体指示を集中して聞き取る

などの活動が求められるため、ワーキングメモリーの低さはもっと大きく影響するそうです。

言語の知識が豊富なので、家庭での一対一でのコミュニケーションにそこまで支障がないけれども、保育園など集団活動でついていけない場面が多いのは、ここに原因があるのでは、ということでした。

各郡指数の差に、意味がある

次に、「言語理解」の指数の顕著な高さを指摘されました。

本当に、言葉の知識がたくさんある娘さんですね。

と言われました。しかし続けて、先生は、

高さと一緒に注目しなくてはならないのは、この言語理解とワーキングメモリーの「」の大きさなんです。

この差が、重要な意味を持っているんです。

とおっしゃいました。先生の説明では、

大多数のこどもは、この群指数の有意差はあっても10程度
有意差が30程度あると、日常生活やコミュニケーションに支障が出るようになる

ということでした。

娘の、言語理解とワーキングメモリーの指数の差60以上でした。

指数の差が、この時点で60以上…。言葉を失う私に、先生がおっしゃいました。

娘ちゃんは、それだけ頑張って日常生活を送ってる、ってことです!

協調運動の未発達が、影響した可能性

次に先生が指摘したのは、運動機能の弱さでした。

ワーキングメモリーは、確かに有意に低い。ただ、そこに脳機能以外に、運動機能面の影響が否定できないことを指摘されました。

  • あらたに粗大運動のOTにかよい始めて、少しは体の動きも滑らかになり、姿勢保持も改善してきてはいるけれど、まだまだ普通の子に比べると、その力が弱いこと。
  • 検査中、クッションで姿勢保持の手助けをしたら、急に集中力が上がり、質問に答えられるようになったこと。
  • それでも、検査の最後まで集中し続けるのが難しかったこと。

これらを鑑みて、ワーキングメモリーや処理速度の低さの原因が、

協調運動の未発達によるものなのか?
注意・記憶機能そのものの弱さなのか?

どちらなのか、まだ断定できない、ということでした。今後、運動機能の発達につれて、検査結果の数値が変わってくることは十分考えられる、と説明されました。

娘に、就学に向けてどんな配慮をしたらいいか?

知能検査の結果を受けて、関係機関に渡す報告書は、

・教科や学習内容に応じ、臨機応変に個別対応集団参加ができることが望ましい
・集中できれば学習力はあるので、姿勢を整えた上で短期集中量より質の学習が大切
・技術面での弱さを、予行練習・反復練習・代替手段の利用で補えるとよい
集団への参加は望ましく、状況説明やフィードバックが理解の助けや経験値をあげる助けになる

という感じに、まとめていただきました。

それと同時に、就学に向けて、成果につながったOTを強化すること、学習の練習としてのSTも続けていくことなどが提案されました。

知能検査のあと、就学に向けて、さっそく療育を少し変更することになりました。

就学に向けて取り組んだ、短期集中OT、ST、登下校の練習

集中的なOT(作業療法)

週2回に増やしてもらった

小学校入学まで、あと半年余り。ここから、それまで週1回程度だった粗大運動OTを、週2回に増やしていただくことになりました。

内容も、今までのアスレチックなどに加えて、縄跳びやボール投げなど、レベルアップしたものも取り入れられました。縄跳びは、ジャンプの練習と縄をまわす練習を別々に、ボール投げは30センチくらいの距離からのスタートでした。

この地域では、療育機関によるOTは、定員の関係もあって原則就学するまでと決められています。これは、全国的な傾向かもしれません。「協調運動の未発達が苦手なところに拍車をかけている可能性」が知能検査で指摘されたので、娘のOTを優先的に増やしてもらうことができました。

ただ、現在では療育を希望する子どもがとても増えたため、こんな田舎でも、集中したOTを優先で予約することは難しくなっているそうです。その点、娘はラッキーだったと思います。

粗大運動だけでなく、微細運動も増やした

粗大運動が少しずつ上手になってきたので、小学校生活に向けて「はさみで切る」「線をなぞって書く」というような微細運動のOTも少しずつ増やしていきました。

縄跳びやなぞり書きなど、娘にはなかなか難しく、少しイヤそうな表情でしたが、

これが終わったら、ビッグブランコ(1番好きだった粗大運動OT)できるよ~

という先生からのご褒美の上手な提示で、一生懸命頑張っていました。

その成果は?

短期集中のOTは、目に見える成果をあげました。

改善の兆しが見えていた姿勢保持は、かなり長い時間保てるようになり、保育園の集会などでも、寝そべったりせず最後まで座っていられるようになりました。

縄跳びは、1度も飛べなかったのが、2~3回は「縄をまわして足もとに来た縄を飛び越える」ということはできるくらいになりました。「飛べて」はいませんでしたが、手と足を同時に、順番通りに動かす、ということは、娘にとってはかなり画期的なことでした。

はさみを使うなどの微細運動もさらに上手になり、はさみを使っていても安心感を持って見守ることができるようになりました。身体がしっかりしてきたことが影響しているのか、少し舌足らずだった言葉までが、明瞭になってきたようにも感じました。

読む・書くことの練習のためのST(言語療法)

数字とひらがなの予習

どちらかというと、視覚的な刺激の方が入りやすい、と、娘は知能検査のときに指摘されました。それで、

文字と数字が早く頭に入っていた方が、小学校でも視覚的な支援がしやすいと思います。

ある程度文字を予習しておくことで、集中しにくくても授業が聞きやすくなると思います。

と発達外来のG先生にアドバイスされ、G先生のSTで本格的に文字と数字の練習をはじめました。

文字の認識は難しい

まずは、拾い読みでいいので「読める」ようになることを目標にしました。しかし、これはなかなかうまくいかず、「字」の話をすると、苦手意識のためか、娘の顔がくもるようになってしまいました。

そこで、とにかく学校で困らないようにと、まずは「自分の苗字と名前」というひとかたまりが認識できるように練習しました。娘には、こちらの方が認識しやすかったようです。

登下校の練習

近所の同級生のお母さんたちに誘ってもらったこともあり、私は娘と小学校への登下校の練習をしました。

ここは田舎で、娘の通学路は片道2キロ近くにもなります。山道で勾配もきつく、冬場は道も暗く雪も降り、しかも集団下校もありません。1人で遊びに出ることもなかった娘の登下校が、私はとても不安でした。そこで、往復4キロの道のりでしたが、何度か練習しました。

道順が、おぼえられない

案の定というか、娘はなかなか道順を覚えられませんでした。

みどり
みどり

次はどこで曲がるかな?

と聞くと、

娘

うーん…。

犬が歩いてる道。犬がいないから、今は分かんない

と答えた娘。

どうやら、よその散歩中の犬を、道を曲がる目印に覚えていたようです。娘のあまりの生活能力の低さに、私は唖然としました。

みどり
みどり

動物や人、車は、動く。

動くものは、目印にできないよ。

『看板や家』は動かない。

動かないものの色や形を覚えようね。

と教えたり、一緒に地図を書いたりして、登下校の道を覚えるようにしました。

交通ルールは、わかる?

娘は、お気に入りのDVDなどをみて、「赤信号は止まる、青信号はわたっていい」くらいのルールはわかっていたようです。ですが、保育園に向かって歩く様子を見ていると、娘は車など、ほとんど見ていないように感じました。

そこで、娘と登下校の練習をしながら、

  • 通学路で交通量が多く危ないところを一緒にチェック
  • 水路にかけられている橋からは身を乗り出さないことを教える
  • 水路に何か落としてしまっても、危ないから拾ってはいけない

など、交通ルールを守って歩くことを練習しました。

保育園でも、クラス全員で学校まで歩いてみる、という練習を何度か行ってもらえました。

不器用ではあるけれど素直な娘は、次第にルールに従って歩けるようになり、また一度覚えたルールを破ることはしませんでした。

現在、小学校高学年になった娘

最近の娘は、通常学級のクラス全員で飛ぶ「大縄跳び」に、参加できるまでに発達しました。登下校のときには、近所の小さな1年生を連れて歩いています。教科書の音読も、そんなにつっかえずに読めるようになりました。

思い返してみると、この、就学前の時期からの娘の頑張りの積み重ねと、まわりからのサポートの積み重ねが、今を形作っているのだな、と、感慨深いです。ただ、あの頃は、親も子もまだまだ未熟で、必死でした。先の見えない小学校入学に向けて、できるだけのことをしたい、ともがいていました。

そして迎えた、小学校入学。しかし、そう簡単に学校生活を過ごせるようには、なりませんでした。

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