ADHD不注意優勢&自閉症スペクトラムを抱えている、私の娘。協調運動障害もあり、気が散って、不器用で、でも素直なとてもやさしい女の子です。
そんな娘が唯一つづけている習い事が、バレエです。
しかし、やってみて続かなかった習い事もあります。
娘が習い事を始め、続けたりやめたりする姿を見てきて、

と私が思っていることは、
- 本人が参加できるか
- 指導者と、よい関係が作れるか
- 習い事のメンバー(父兄も含めて)と、よい関係が作れるか
の3つです。始めてからこのうちの1つでもうまくいかないと、続けることはとても難しく、本人にとっても周りにとっても「失敗体験」になりやすいです。
今回は、発達障害を持つ子どもが、習い事を選ぶときに考慮した方がいい3点について、まとめてみたいと思います。
発達障害の子が、習い事で考えなければならないこと
子どもが習い事を始めるとき、大事なことは何でしょうか?やはり、せっかく習い事を始めるのなら、一定の成果を身につけるためには「続けること」が大切だと、私は思います。
では、発達に偏りがある子どもが習い事を「続ける」ためには、何に気を付ければいいのでしょうか?
それは、「本人の特性」と「周囲との人間関係」です。
「習い事」という空間は、学校のような公教育ではなく、メンバーがそれぞれ私的に月謝を払って参加し、指導者とメンバーみんなでつくり上げていくものです。ですから、保育園や学校よりも、ある程度のレベルを満たして行動することを、どうしても求められるものです。
うまくいかないまま習い事を続けることは、
- 子ども本人にとって「辛かっただけ」のよけいな失敗体験になる
- 周りのメンバーやその保護者たちとで、トラブルになってしまう恐れがある
- 特性に合っていないことで、大きなけがにつながる
などという、誰にも得にならない結果になってなってしまうかもしれません。
できるだけそうならないよう、習い事での「本人・指導者・メンバー」の3者の関係を円滑にするために、私がこれまで考慮してきたポイントを、以下に挙げました。
特性に合っていて、本人が参加できるか
まず、その習い事が

本人の特性に合っているか?
が、続けられるかどうかの最初のポイントだと思います。
特性に合っていれば、本人も参加しやすく、指導者や周りのメンバーともトラブルが起きにくくなります。自分らしくいられるような習い事なら、子ども本人が楽しみやすく、長く続けることができます。
特性に合っていないと、参加できなかったり、パニックを起こしたり、とてもストレスをためることになってしまいます。
練習は、グループか、個人か
習い事は、レッスンや練習が、グループのものと個別のものに大別されます。グループで練習する習い事は、「練習」のときに「グループか、個別か」が、続けられるポイントになってきます。
主にグループレッスンのものは、
- スポーツ少年団
- ダンス、リトミック
- 学習塾、英語教室
- 水泳
などです。娘のやっているバレエも、こちらになります。
主に個別レッスンのものは、
- ピアノなどの楽器
- 習字
- 絵画
- 家庭教師
などです。娘が前にやっていた通信教材は、こちらに入ります。
水泳、英会話、学習塾だと、習い事の先やコースによっては個別指導もあります。いずれにせよ、習い事を「続ける」ためには、子どもが無理なく参加できる形を選んでいくことになります。
試合や発表に、チームワークが必要か
「練習段階」だけではなく、習い事には発表やコンクール、試合など、練習の成果を試す場があります。
この、いわゆる「本番」のときに「グループか、個別か」つまり、本番でチームワークが必要かどうかもネックになってきます。
チームのみんなと協力して練習の成果を出す習い事では、より高いコミュニケーション能力が求められます。発達に偏りがある子どもにとっては、ハードルが高くなりやすいと思います。
例えば、スポーツ少年団やダンスであれば、
- 練習→チーム
- 本番→チーム(試合・コンクールやコンテスト)
という形になります。子どもがチームの一員として動けるかどうかが、練習の結果にダイレクトにつながります。発達障害の子には、かなり難易度が高いと思います。
また、例えば水泳や剣道、公文などであれば、
- 練習→集団(練習・学習)
- 本番→個人戦(大会・テスト)
という形になり、「練習は集団」でも「成績はそれぞれのもの」になるので、コミュニケーションの面では若干ハードルは下がります(水泳や武道は団体戦もあるので、一概には言えませんが)。
また、例えばピアノ、バイオリンなどの楽器では、
- 練習→個人レッスンが多い
- 本番→基本は個人(発表会・コンクール)。オーケストラなどは集団
という「基本は個別」の形になったりするので、コミュニケーションで苦手意識がある子には、取り組みやすい面もあると思います。
また、例えば絵画やプログラミング教室などでは、
- 練習→個人
- 本番→コンテスト希望者のみ、またはない
という形だったりで、「本番」がない、というパターンもあります。本番のプレッシャーにとても弱い子は、これらのことも考慮する必要があります。
娘のバレエは?
娘の習っているバレエは、
- 練習→グループ
- 本番→発表会の群舞は集団、ソロやコンクールは個人
というかたちです。
しかし、プロのバレエ団に所属している教室ではないので、娘が群舞が下手で悪目立ちしてしまっても、娘1人が先生にこっぴどく指導されるだけです。ほとんどの親御さんは、「発表会が、バレエ教室として上手にできているか」はあまり気にせず、「自分の子どもが上手かどうか?」のみ気にされているようです。なので、発達凸凹の娘ものびのび参加しています。
まあ、私が娘の立場なら、自尊心に耐えられずに逃げ出すと思いますが…。我が娘ながら、感心します。
不注意や感覚過敏・協調運動などに、影響がないか
発達に偏りがある子どもは、感覚が過敏だったり鈍麻だったり、協調運動に大きな苦手を抱えている子も多いです。注意力が極度に散漫な子もいます。この、「感覚過敏・鈍麻」が悪影響にならないかどうかは、とても大切になってきます。
そのような「普通とは違う感じ方」がつらくなってしまう習い事は、努力ではどうにもなりません。続けることは難しいと思います。
例えば、私の娘のような極度の注意力散漫な子は、
- 水泳で、ぼんやりして溺れる
- 体操で、不注意で頭から落下する
などという、命に関わるたいへんな事態も想定できます。
また例えば、聴覚過敏だったら、
- ダンスで、曲の音量に耐えられない
- 水泳の、スタートの合図の音(笛、ピストル)がものすごく苦痛
だったりするかもしれません。
触覚に過敏があれば、
- 水が痛い、怖い→水泳は厳しい
- 痛いのが苦手→武道は苦痛
- 皮膚感覚が過敏→武道の胴着やダンスの衣装が、ちくちくして着られない
などということが起こりえます。
私の娘のように協調運動に問題があれば、
- 粗大運動に問題→水泳、体操、ダンスのような全身運動が難しく感じる
- 微細運動に問題→ピアノや習字は超苦手
という風に、困難が出てくることも予想されます。
ただ、親が大丈夫と思っていてもつらかったり、親が難しいと予想しても子どもは意外に大丈夫だったり…。感覚過敏や協調運動の問題は、やらせてみないと分からないところもあります。我が家の娘は協調運動障害も感覚過敏もありましたが、本人がどうしてもバレエを辞めません。
でも、一般的には感覚過敏や協調運動の面で困難が出てきて本人が嫌がる場合は、無理に我慢させても慣れることは難しいと思います。そういう場合は、早目に撤退することも大切になってきます。
本人のやる気があるか
習い事を続ける上で、私が一番大事になってくると思っているのが、本人のやる気があるかどうかです。
これは、発達に偏りがある子どもだけではなく、習い事を続けるためには、すべての子に必要になるポイントだと思います。
本人の「好き」は、やる気と成果につながる
発達に偏りがある子どもは、「好きなことにしか集中できない」という特性を持つ子どもが多いです。逆に言うと、「好きなことなら夢中になれる」ことも多いので、うまくそのような習い事を見つけられれば、続けることもでき、成果も出しやすいです。
協調運動障害のある私の娘も、明らかに向いていないのに、どうしても「好き」でバレエを辞められません。ですが続けることで、協調運動や体幹が鍛えられ、情緒面でも成長しました。
やる気になりやすい「形」もある
やる気が出るポイントは、「好き」かどうか、だけではない、と私は思っています。
発達に偏りがある子どもは、「決まったルーティンを好む」という面を持っている子も多いです。いつも決まった時間に、決まったメンバーで、決まった形で、決まった指導者とおこなう、という、習い事の「形式そのもの」を好む場合もあるのです。
習い事そのものの「形式」は、レッスン内容も特化されていて「急な予定変更や突発事態」も保育園や学校と比べて少ないです。そのような習い事の「形式」は、発達に偏りがある子どもに、とても理解しやすいものです。
このような習い事と出会えると、長く続けやすいです。習い事に参加すること自体が、その子どもの安心感につながるからです。
また、例えばバレエのバーレッスンや茶道のお点前などは、完成された「形」のコンプリートを目指す習い事です。そのようなものに魅了される子もいると思います。
指導者が、発達障害に理解があるか
習い事を始められるかどうかは、その習い事の指導者が、発達に偏りがある子どもにどれだけ理解があるかも、肝になってきます。
習い事の体験に行きたくても、発達に偏りがある、と先方に告げるとやんわり断られる、というのは、我が家でも実際に経験があります。(ちなみにそれは、学習塾でした)
「普通の習い事」で、特別な配慮は求められない
習い事の指導者も、それぞれの生徒さんから月謝をもらって教室を運営しているので、すべての生徒さんにきちんと指導をする、という責任があります。発達に偏りがある子どもを特別扱いするとか、その子にかかりきりになってしまう、ということはできません。
その子どもへの配慮が、指導者1人にゆだねられる
さらに、公的な支援やサポートを受けられる場ではないので、指導者1人にすべての配慮をお願いすることになります。
それに対して受け入れを断られてしまったら、その習い事を始めたり、続けたりすることは、難しいです。無理に始めることで、その教室に迷惑をかけることにも起こりえます。インクルーシブ教育、という言葉が知られ始めた昨今ですが、それは公教育である学校でも、とても難しいことです。
しかし、そのような配慮をある程度お願いできる、力量のある先生は、探せば見つかることもあります。そのような指導者と出会えると、発達に偏りがある子どもが習い事を続ける、ということも可能になってきます。
例えば、娘のバレエの先生は、レッスンではないときは福祉のお仕事も両立されています。娘の発達に関しても、とても理解があります。
習い事のメンバーやその父兄と、よい関係が築けるか
指導者の理解と同じくらい大事になってくるのが、習い事のメンバー(と保護者)が、発達の特性に理解があるかどうかということです。
理解ある指導者との出会いは、あたたかいメンバーとの出会い
程度や特性にもよるところはありますが、理解ある指導者の下には、理解あるメンバーがたくさんいるものだと、私は自分の経験を通して思います。娘のバレエ教室は、あの先生方のお教室だったからこそ、「不器用で変わった娘」がみんなからあたたかく見つめてもらえているのだと感じています。
習い事の場では、指導者が絶対意思です。「この先生だから習っている」と、指導者を慕って習い続けている親子も多いのが、習い事です。
尊敬する先生の考え方や指導方針に、メンバー親子が賛同しやすいのです。
ですから、指導者が発達に偏りがある子どもに理解があり、上手に指導ができる教室では、メンバーや保護者の方たちも、難しい子でもあたたかく見守ってくれる人たちが多いものです。
そんな指導者やメンバーに恵まれたら、ぜひ、その習い事は続けたいものです。
こちらの記事では、習い事のお友達についても書いてあります↓
習い事を選ぶときは、「子どもの気持ち」と「教室情報」のリサーチを!
習い事は、学校とは違う世界との「出会い」です。
せっかく習いに行かせるなら、子どもにとって、価値のある体験になってほしい。あわよくば、発達に偏りがある子どもの、秀でた部分を開花させてほしい。苦手分野をきたえる場になってほしい。
習い事に関して親はつい欲張ってしまい、ともすれば親の価値観で推し進めてしまいがちです。私もそんな気持ちで、いろいろな習い事を娘に勧めてきました。しかし、娘を高めてくれた習い事は、娘が「好き」な習い事でした。
習い事を子どもにとって価値のある体験にするには、「子供の気持ち」と「教室情報」のリサーチが一番大切です。
ぜひ、皆様のお子さんが、素敵な習い事に出会えますように。
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